労働法と多様化する雇用契約
三大義務の一つである勤労勤労とは、私達日本人に日本国憲法によって定められた、教育を受けさせる義務、納税の義務と並ぶ三大義務の一つです。そのため、私達は日本人であり、日本に暮らす日本国憲法の下にあるかぎりは、勤労する義務を負っています。では、何故この勤労が義務となっているのでしょうか。この三大義務は、いずれもひいては国の維持向上、存続に関わっているものです。まず最初に来るのが納税の義務でしょう。私たちの国の様々な運用費は、私達国民が収めた税金によって賄われています。そのため、この国のインフラストラクチャーを享受する以上は、その対価として正統な税金を支払うことは、当然の義務であるということが出来るはずです。では、納税するためにはどうしなければならないか。お金を得なければなりません。そうした時に必要になるのが、勤労です。現在の世界は、そのほとんどが資本主義社会として成立しています。ごくごく一部に例外としてベトナムや北朝鮮のような社会主義・共産主義を取っている国こそありますが、最早資本主義が基本的な社会構造であることは間違いないのです。そのため、私達は勤労によって対価としての賃金を得て、それを使って納税をしなければなりません。これが勤労の義務が義務たる理由でしょう。そして、教育を受けさせる義務は、次代に生きる子供たちを適切に育成し、社会に貢献する勤労が可能となるように育てていくことがその目的の一つであるといえます。つまり、この三つの義務は、すべて辿り着く目的は同じ、国を存続させることにあります。労働の重要性は、お分かり頂けましたでしょうか。では、次は法律に関してみていきたいと思います。憲法はこの国で一番トップに存在する根幹たる法律です。その憲法によって規定されている義務なのだから、それを破ったら重い罰則があるとお考えになるかもしれません。結論から言ってしまえば、なりません。憲法というのは罰則規定を持っていない法律です。では憲法とは何者なのか、簡単に言ってしまえば「法律の法律」が憲法です。つまりは、法律を新に設定する際に、その法律を作るためのルールが、憲法なのです。なので、憲法に記された三つの義務というのは、直接的に私達日本国民に対して拘束力を持つものではありません。これら憲法に則って作成された他の法律によってこそ、直接的な制約がなされることになります。では順に見て行きましょう。納税の義務に則って作られた法律といえば、税務法や消費税法、相続税法、などなど様々あります。これらは、例えば物品を購入した際にその5%は税金として納めなくてはいけない、だとか、財産を相続させる場合には50%を納めなくてはいけない、だとか、あるいは家を持っていれば固定資産税、車を持っていれば車税を払わなければならないというルールが事細かに設定されています。こちらの法律には罰則規定も存在していますから、それらの行為をしておきながら、税金を払わないというのは脱税として違法行為の処罰を受けることになります。これは、間違いなく義務の一つであるといえるでしょう。次に、教育を受けさせる義務。教育については教育基本法をベースとして、私立学校法などにより、その学校のシステムごとに設定されたルールがあります。その中には義務教育の期間として小学校六年間、中学校三年間が設定されており、この期間において子供を正統な理由なく教育を受けさせないというのは、罰則の対象となります。これも間違いなく義務といえるでしょう。それでは、最後に勤労について見てみましょう。勤労を規定するのは、労働法という法律群です。労働法とは、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の三本の柱を中心として、その他の労働に関わる法律、法令、命令、通達、判例などを含んだものです。これらの内容についても見ていきましょう。労働基準法は、労働をする際に、労働者が保護されるべき条項を設定している法律です。使用者が不当な使用によって労働者を拘束したり、契約違反をした労働をさせることを禁じている法律となります。労働組合法は、労働者に認められた三つの権利である労働三権の行使に伴う方法を認めたものです。労働三権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権の三つで、これらを実行するための団体、労働組合は労働している事業から運用費を受け取って運営されなくてはならない、というルールが設定されています。これによって、どうしても使用者に対して下の立場となりがちな労働者が、実質的に対等な立場まで持ち上げられることになります。そして労働関係調整法は、それらの団体行動に対して、どのような対処を取るべきか、といったことや、どういった団体行動は禁止する、といったようなことを制定しており、こちらは使用者側が不当に下の立場とならないように調整している法律です。その他法令は法律ではないルール、命令はそれに従った発布、通達はそれに従った施行、判例は労働法に関わる裁判の記録であり、それらの集大成として「労働法」が成っています。さて、ここまで見てお気づきの方もいらっしゃるでしょうか。実はこの労働法という法律群には、私達が労働する場合に保護されることを述べているばかりで、憲法に定められた三大義務の一つを果たさなかったとしてもそれに対する罰則は存在していません。極端な話、家がお金持ちで一生お金に困らないのなら、三大義務を一つ放棄したとしても、直接的な罰則はないということです。では、なぜそうなっているのか?それは、他二つの義務に対して、この勤労は必ずしも全員が可能ではないからです。現在の日本は、非常に高い失業率と、就職未決定率を誇っています。それというのも、日本が長い不況に喘ぎ、企業側が必要とする人数と、勤労を求める人数の需要と供給の天秤が傾いてしまっているからです。選ばなければ仕事はある、と言いますが、賃金を得て生活していくための糧となる仕事先を、選ばないというのもおかしな話、そういった関係によって、今起こっているのは、労働契約の多様化です。昔であれば、基本的には皆正規社員として雇用し、終身雇用制度という世界にも類を見ない手厚い雇用契約によって定年までのあいだ非常に安定した勤労をすることが可能でした。しかし現在では、正規社員以外の労働形態というのもまた増えてきています。そこで今回は、そんな様々な雇用契約に伴うメリットとデメリット、それらの問題はどのようにして解決されていくのか、そんなことを軽く紹介していきたいと思います。今回紹介する雇用契約は、「パートタイム労働」「派遣労働」「契約社員」「在宅勤務」「外国人労働者」の五つについてです。それぞれが、私達の社会に密接な関わりを持っておりますから、自分がそうでなくても、少し考えてみてください。
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